February 8,2016

マニュアルの目的




 

 

 

マニュアルは、なぜ存在するのか?

 

新人が仕事のやり方や流れを覚えるためだけにあると考えている人が多いが、それだけではない。

 

マニュアルの本当の目的は、企業理念を行動に落とし込むことである。

 

ただ単にマニュアル通りに行動するだけでは足りない。

 

担当者は、独自に創意工夫をする必要がある。

 

そのためには、マニュアルに企業理念を明確に記載して方向性を示すこと。

 

そして、どのように創意工夫すれば良いのかが理解しやすくなっていなければならない。

 

良品計画の会長だった松井忠三氏も言ってる。

 

「マニュアルの本質は、社員を縛りつけることではない。10のうち9割は決まっていて、残りの1割が創意工夫で変わってゆく。」

 

松井氏の言う「決まっている9割」とは、企業理念や方向性のことだろう。

 

無印良品には、ふたつのマニュアルがあるそうだ。

 

ひとつは、本部の業務をマニュアル化した業務基準書。

 

もうひとつが、店舗で使うMUJIGRAM(ムジグラム)で、業務ごとに分けたファイル13冊分、2000ページに及ぶ膨大なマニュアルだ。

 

全店の日々の事務作業から、企画開発、売り場のディスプレイまで、無地良品を支える仕組みのすべてが明示されており、毎月1%ずつ、現場の声を反映して内容を更新し続けているそうだ。

 

時代は変化し続ける。

 

どんなに優れたマニュアルも、一度作って終わりでは、現実と合わなくなってしまう部分が出てくるだろう。

 

MUJIGRAMは、10年以上も前から店舗からの業務改善提案を元にアップデートされ続けているそうだ。

 

能の世界に「型破り」という言葉がある。

 

「型破り」は、型を持たない「型なし」とは違う。

 

きちんと型を学んだ人が、創意工夫をして新しい型を作る、それが型破りだ。

 

「MUJIGRAMの目的は、社員を縛り付けることではなく、型破りを繰り返して、進化し続けることにある。」

 

「どんどん無印良品の仕組みをアレンジしてもらえたら嬉しい。」

 

松井氏の言葉に、経営者としての「あるべき姿」と「器」の大きさを感じた。